読書

【ウィズエイジング】60歳からを楽しむ生き方~フランス人は「老い」を愛する

フランス人は老いを愛する
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この記事を書いている私は今50代。日々少しずつですが自分の老化を感じています。

TVや新聞・雑誌、ネットを見ていて目に入ってくるのはアンチエイジングとか、老化対策と言った言葉。

気にしているから目に留まるのは自覚しているんだけど、だんだん「年をとるのはそんなに悪い事なの?」と言う疑問がわいてきました。

そんな時に手にしたのが

『60歳からの生き方 フランス人は「老い」を愛する』 賀来弓月著 文響社 

歳をとるのも悪くないなと思わせてくれる1冊でした。

とらこ

アンチエイジングよりウィズエイジングっていう言葉も聞かれるようになったよね。

老後を前にしてあれやこれや不安がでてきたアラフィフ世代。

「年を重ねる事は素敵なことなんだよ」と、

誰かに言って欲しいと思った時に読むと気持ちが楽になる本です。

60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する

この本の著者、賀来弓月氏は元外交官、引退後はフランスの修道院で介護ボランティアを経験。

フランスで生き生きと過ごす多くの高齢者に出会い、その生き方や精神性に学ぶところが多いのでは とこの本をまとめられました。

各章が短く、気の向いた時、時間の無い時でもさっと読み進められます。

ところどころにフランスの著名人のことわざが引用されていて、フランスの文化を感じられ、著者が出会った普通の人々のライフスタイルや言葉も、さすが人生の先輩、と奥深いものがあります。

年を重ねるのも素敵と思わせてくれた文

どの章にも素敵なエピソードや言葉がちりばめられているのですが、その中でも私が素敵だなと思った文を3つ引用し紹介します。 

「老いは熟した果実である(La viellesse est un fruit dans l’état de sa maturité)」という諺のとおり、高齢者は人間の円熟期とされているのです。

60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する

 

私が今まで「老い」に関してイメージしてたのは枯れすすき。

ぽそぽそとして道端で風に揺られていて、熟した果実とは程遠いイメージを抱いていました。

果実は熟したときが一番美味しいですよね。

外見では無く、中身を考えれば、知識も経験も豊富な高齢期はまさに円熟期。

衰えてきた外見ばかり気にしていた自分に気が付き反省しました。

ブルターニュ人(ケルト民族のフランス人)で音楽学校の元教授ジャック・ベロワ氏(74歳)は、フランス人はいつでも「自分は若い」と思っているといいます。90歳を超えても老人だという自覚があまりないというから驚きます。年齢だけで老いを感じるのではなく、足腰が立たず自立的に生活する能力がかなり失われたときにはじめて老いをかんじるのだそうです。

60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する

アラフィフ世代の私達は、もう年なんだから落ち着いた色の服を着なくては、とか、若い子のようにはおしゃれを楽しんではいけないとか、年齢を考えて自分を抑える事を気付かないうちにやっていませんか?

それはやっぱり外見の衰えを気にしての事?

他人からどう思われるかを気にする日本人特有の価値観?

年齢なんて気にしないで、自分自身を楽しもうよって言われた気がします。

文豪ビクトル・ユーゴ(1802-1885)は、こんな言葉を遺しています。「老いの特徴のひとつは、自身の年齢以外にあらゆる年齢を持っているということだ(L’un des priviléges de la vieillesse, c’est d’avoir outre son àge tous les àges) 」

60歳からを楽しむ生き方 フランス人は「老い」を愛する

若い頃の自分はもっと好奇心旺盛で、好きな物が沢山あって、いろんな事にワクワクしていた。

そんな私はもう過去の私、と諦めに似た感情が自分の中にはあります。

過去の私も今の私も全部ひっくるめて私で良い。

時々過去の私が顔を出して、年甲斐もないと言われそうな事をしても、それも私。

年を重ねると共に変わっていく自分も、今までの自分も、一緒に楽しもう。

そんな風に背中を押してくれる文章でした。

文化的背景を知ってカフェ文化の疑問が解けた。

テーマの「老い」とは関係のないことですが、

私自身がヨーロッパを旅行した時、街に多く並ぶカフェに疑問を感じました。

最近は日本でも見られるようになったけど、カフェの外にテーブルが並んでいて、常連さんっぽい人々が談笑している光景が私にとっては謎でした。

なんで外にテーブル?

人の目は気にならない?

紫外線は気にしないの?

フランスの高齢者の日常も紹介されているこの本で謎が解けました。

フランス人は頻繁にカフェへ行き偶然となりに座った人と会話を楽しむ。

高齢者が孤独感を和らげる秘訣のようです。

外にテラスがあるのは大好きな陽の光を浴びるためなのかな。

本文中にもありますが、褐色に日焼けをした皮膚はフランス人のステータスシンボルで、フランス人の生活に日光浴は欠かせないそうです。

公園で日光浴をしている人を多く見かけたのも納得です。

それにフランス人は個人主義。人の目なんて気にしないのでしょうね。

一方、日本の多くの人は見知らぬ人との会話に躊躇し、人の目を気にするし、紫外線も避ける。

文化的背景が違います。

一見おしゃれなカフェのテラス席は このまま日本に根付いていくのでしょうか。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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