学生の頃、学期はじめは気持ちも高ぶっていて新しい教科書も嬉しかったです。
でも、学年末になると教科書にはすっかり愛着が無くなって、開いた形跡すらなかったりしませんでしたか?
私は特に歴史、日本の現代史が苦手でした。
学生時代に歴史に対する苦手意識が身に付いてしまった私ですが、日本史が面白くなる本を読みました。
この記事では、ボリュームがあり内容も濃い百田尚樹著【日本国紀】上下巻の感想を紹介します。
日本国紀 百田尚樹著
この本を手にしたきっかけは、1人で片道4時間の長距離ドライブをする必要があり、道中のお供に何か長めの「聞く読書」を楽しもうと思ったことでした。
道中のほとんどが高速道路利用なので道に迷う心配もないし、往復8時間という長い時間を有意義に使うには、「聞く読書」はうってつけです。
オーディオブック配信サービス – audiobook.jpひとりでの長距離ドライブでしたが、本の内容が面白くて、眠くならずに無事目的地へ着くことができました。
著者が百田尚樹さんなのも、読んでみたいと思った理由です。
「聞く読書」で面白かったので、文字でも読みたいと文庫本でも読みました。
『日本国紀』は歴史の本なだけに、「読む本」には漢字が多く、漢字が苦手な人には難しく感じるかもしれません。
私は漢字が多いと眠くなるよ!
読み仮名がなくて読めないと余計に眠くなるんだよね~。
それでは、はじめに著者の百田尚樹さんの紹介から。
著者紹介*百田尚樹
TV番組『探偵ナイトスクープ』の放送作家としても有名な百田尚樹氏。
代表作『永遠の0』や『海賊と呼ばれた男』『カエルの楽園』等小説の他、エッセイ・評論本が多数出版されています。
百田尚樹さんの書いた小説は何冊か読んだよ。
中でも『風の中のマリア』というハチが主人公の話が好き。
ハチから見た世界がとてもリアルに描かれていて、ハチを見る目が変わったよ。
日本国紀*本の紹介
私達の暮らす日本は神話と共に誕生し、万世一系の天皇を中心に独自の発展を遂げてきました。
その歴史を、古代から現代まで、教科書が教えない知られざる史実も含め浮き彫りにする日本国通史です。
当代一のストーリーテラーと言われる百田さんの語り口がテンポよく、上下巻合わせて830ページというボリュームですが、面白く読み進められました。
所々にコラムがあったり、同時期の西洋の様子も書かれているので、日本だけでなく、世界史の復習にもなります。
日本国紀を読んだ感想
ここからは、私が日本国紀を読んだ感想をお伝えします。
『日本国紀』を読んだ直後は「実はこんなことがあったんだよ」とか、「日本ってすごいんだよ」とか、人に話したくてウズウズしました。
本の内容よりは読んだ後に私がどんな風に感じたかという感想を紹介していきます。
自分の命を尊いものだと思わせてくれた
上巻第一章「古代〜大和政権誕生」では、縄文時代の人々の寿命について触れています。
縄文時代は乳幼児の死亡率が高いため、平均寿命が15歳くらいだったそうです。
15年以上生き延びた人に限ってもその平均寿命は推定30歳ぐらい。
現代を思うとなんて短命なんでしょう。
百田さん自身も下の引用のように語られています。
今、この本を書いている私も、そして読者の皆さんも、縄文時代の女性が命懸けで産み、育てた子供たちの末裔です。飢餓、病気、戦争という過酷な環境の中で生き抜き、出産と子育てという営みが数千年以上繰り返されてきたこと、その結果、自分が今ここにいることを思うと、私は胸が熱くなります。
日本国史:第一章 古代~大和政権誕生
この文章を読んだだけで、「あぁ、この本を手にしてよかったな。」と思いました。
今まで自分の祖先のことを考える機会があっても、せいぜい顔を知っている祖父母か、その1代前くらいしか想像できませんでした。
考えてみれば、祖父母のずーっと前から、古代から命は受け継がれてきているのに、今まで考えてもみませんでした。
歴史をさかのぼって思いを馳せると自分の命がとても尊いものに思えてきます。
歴史に興味が湧き、御朱印集めが楽しくなった
学生の頃は日本史が苦手でした。
読み方の分からない漢字や、年号の暗記など眠くなる要素が多くて、「日本史」と聞いただけで高校の教室の気だるい雰囲気を思い出します。
学生の頃勉強した内容は、それなりに頭の片隅に基礎知識として残っているけど、「この本が教科書だったらもっと勉強が面白かったかも」と思います。
ところで、私は3年前になんとなく、軽い気持ちのスタンプラリー感覚で御朱印集めを始めました。
神社の由来や歴史にそれ程興味は無かったのですが、この本を読んであらためて古事記を読んでみたいと思いました。
いわゆる日本神話です。『日本国紀』を読了後、古事記を分かりやすく解説した本を何冊か読みました。
すると、御朱印目当てで訪れる神社の由来が気になるようになりました。
日本の神社には古事記に出てくる神様を御祭神としている由緒ある神社も多いです。
古事記の時代から伝わる日本の歴史がそこに残っているんですね。
神社に生えているご神木や大樹はその頃からそこにいて「歴史を眺めてきたのかしら」とか、木から見た世界を想像するのも楽しいです。
仏教と神道の違いも良く分かっていなかった私ですが、神社巡りが以前より楽しくなりました。
学校で習ったこと、世間で公表されていることは全てが正しいわけでは無いことが分かった
自分でいうのもなんですが、私は割と素直に育った(?)おかげで「学校で習ったことは全て正しい」と思っていたし、「新聞に書いてあること」も、「親の言うこと」も間違っていないと思っていました。
歴史は、ある時期までは残された文献や資料がわずかしか無くて、教科書に書かれていることが完璧に正しいわけでは無いのですね。
例えば、「いい国作ろう」の語呂合わせで暗記した鎌倉幕府ができた年号も、実は色々な説があるそうです。
何のための暗記だったんだろうって思うね。
話は変わりますが、百田さんがアンチ朝日新聞的な発言をされることは他の著者で読んで知っていました。
朝日新聞を読んで育った私にはちょっとショックでしたけど、「捏造される歴史もある」という事実は認識しておいても良いのかもと思います。
自分の親の世代がジーエイチ9005の洗脳を受けていたことも、歴史を考えれば納得できるというか、親世代に感じる違和感の謎が解けた気もしました。
逆を言えばこの本に書かれていることだって全て正しいわけでは無いということなのかなと思ったりもしますが。
国によって同じ事件でもとらえ方が変って来るし、後世への伝え方も違っていくという事実を知っていると、視野が広がるんじゃないでしょうか。
日本人の国民性は昔から変わらないことを知った
『日本国紀』は古事記の時代から近代までの日本の歴史をざっと振り返る形で書かれていて、所々、海外の文献による日本の様子も紹介されています。
どの時代の海外の文献にも、日本人の特性として「盗みを働かない」「勤勉で穏やか」などと書かれているようです。
これは民族として嬉しいことですね。
自分個人のことを振り返ると落ち込むばかりの私ですが、民族として持っている性質は一目置かれるものなのかと考えると、自己肯定感が上がります。
日本という国に、日本人に生まれてきて良かったな、と素直に思いました。
普段は小説ばかり読んでいるけど、たまにはこういう本も面白いね!
私の子ども達が高校生くらいの時にこの本を知っていたら、絶対に読ませたいと思った本でした。
歴史好きな人にもおすすめです。